本稿では、2025年10月15日に上場した「ライオン事務器(423A)」について、今後の株価を需給・業績・バリュエーション・比較企業・イベント要因など、多角的かつ段階的に分析します。
基本情報まとめ
- 市場区分: 東証スタンダード
- 公開価格: 213円
- 初値: 374円(+75.6%)
- 吸収金額: 約10億円
- 公開株数: 約490.6万株
- ロックアップ: 主要株主に180日(解除条項なし)
- 時価総額(初値ベース): 約65億円前後
- 売上: 約349億円
- 営業利益: 約10.8億円(営業利益率3.1%)
- EPS: 約25.5円
PER比較では、コクヨが約20.5倍、キングジムが約23.7倍とされる一方で、ライオン事務器は公開価格ベースでPER約8〜9倍と割安な位置にありました。
バリュエーション分析
初値374円時点ではPER約14.6倍(374÷25.5)。公開価格213円では約8.3倍。スタンダード上場銘柄の中ではディスカウント気味で、初値でやや適正水準に是正されたと見られます。
株価シナリオ予測
短期(〜3か月)
- ベース: 320〜420円。需給調整のボックス圏。
- 上振れ: 430〜500円。好地合い+内装・教育ICT関連のテーマで物色。
- 下振れ: 280〜320円。短期利益確定と地合い悪化。
中期(6〜12か月)
- ベース: 300〜440円。PER12〜17倍水準。
- 上振れ: 450〜600円。配当・優待施策やICT拡大が評価されるケース。
- 下振れ: 240〜300円。コスト上昇・案件ズレによる減益懸念。
長期(2〜3年)
- 上振れトラック: 営業利益率が4%台へ改善しPER16〜22倍定着 → 株価400〜560円。
- 下振れトラック: 利益率停滞でPER10〜12倍 → 株価260〜320円。
ポジティブ要因・リスク要因
ポジティブ材料
- 主要株主の180日ロックアップで売り圧力限定的。
- 配当・株主優待の新設による個人投資家人気。
- オフィス設計・文教ICT・EC「ナビリオン」など粗利改善余地。
ネガティブ材料
- 公開株数が約490万株と厚めで短期上値が重い。
- 営業利益率が3%台と低水準。
- 小型スタンダード銘柄特有の市況感応度リスク。
注目イベント
- 初値形成・気配運用情報(短期需給に影響)。
- 1Q/2Q決算での粗利率・販管費率の動向。
- ロックアップ解除(2026年4月中旬予定)。
投資スタンス別戦略
短期トレード戦略
初値後の出来高減少局面で320〜350円付近の押し目を拾い、400円台前半で回転を狙う展開。地合い悪化時は即撤退。
スイング・配当重視型
PER12〜14倍(300〜360円)を中立バリュエーションとして分割エントリー。配当・優待施策を確認してポジション調整。
長期バリュー型
利益率改善・増配の兆候が見えた段階で中期保有。フェアレンジはPER16〜18倍=410〜460円。
6. 総括
初値でPERは14〜15倍に是正。ここからは「業績微増 × 施策(配当・優待) × 小型需給」の三点勝負。基本レンジは短期320〜420円/中期300〜440円、上振れ時は450〜600円、下振れは240〜300円を想定。
参照リンク
昨日〜今日の値動きと出来高の総括
10月16日(本日)の値動きを中心に、デイトレーダー目線で振り返ります。
- 始値:478円
- 高値:533円(午前)
- 安値:374円(終値もこの水準)
- 前日終値:454円
- 終値:374円(前日比 −80円、下落率 −17.62%)
- VWAP:約443.5円
- 出来高:17,970,800株(約1,797万株)
- 売買代金:7,969,879,200円(約79.7億円)
午前中は強い買いが入り一時533円まで上昇するも、その後は利確売りに押され急落。午後は軟調に推移し、VWAPを割り込んで引けました。上場直後らしい“初動の勢いからの反落”という典型的な展開です。
総評
午前の出来高ピーク後に売り圧が強まり、引けにかけての下げが顕著でした。533円付近が短期的な上値抵抗帯として意識される可能性が高く、今後は370〜450円帯の攻防が焦点となります。
明日のデイトレ戦略(10月17日)
プロのデイトレーダー目線での戦略シナリオを以下にまとめます。
寄り前チェックポイント
- 374円終値・VWAP443円付近の板厚を確認
- 寄り前の気配値・出来高を観察(寄り成行が多ければ短期リバ狙いも)
- 新規IR・ニュース有無を確認
- 地合い(マザーズ・グロース市場指数)も同時確認
エントリー戦略
| 戦略 | 条件 | 狙い目 | 損切ライン | 利確目標 |
|---|---|---|---|---|
| 寄り買い | 寄り気配強く板に厚み | 380〜420円 | −5〜8% | 430〜480円 |
| 戻り売り | 500円近辺で過熱感 | 480〜520円 | +5〜8% | 400円台前半 |
| 押し目買い | 430〜470円で押し目形成 | VWAP回復時 | 前日安値割れ | 480〜520円 |
| 午後順張り | 反転・崩れの兆しで判断 | 昼安値/高値ブレイク | 直前足逆行時 | +3〜7% |
リスク管理ポイント
- 出来高が急減したら早期撤退(流動性低下)
- VWAP443円を明確に上回れない場合は弱気シナリオ
- 上値抵抗533円を超えるまでの戻り売り圧に注意
- 損切ルールを徹底(逆行時は即撤退)
明日の想定シナリオとレンジ
- 基本シナリオ: 朝の買い→午前高値→午後崩れ(370〜450円レンジ)
- 上振れシナリオ: 強地合いでVWAP突破 → 480〜520円へトライ
- 下振れシナリオ: 寄りから売り優勢 → 350円台まで押す可能性
明日の想定レンジは360〜480円。地合いや板厚の変化を確認しつつ、方向を見極めたスキャル・デイトレが有効です。
まとめ
上場初動のボラティリティは依然として大きく、リスク管理が最重要。短期のリバウンド狙いは早めの利確を徹底し、VWAP突破を確認するまでは過信禁物。逆行時の損切を機械的に行うことで、余計な損失を防ぎましょう。
PERと理論株価の対応表(EPS=25.5円基準)
IPO直後のライオン事務器(423A)について、想定EPS(1株利益)を25.5円と仮定した場合のPER別理論株価レンジを算出しました。公開価格や初値との比較から、現時点の評価水準を読み解きます。
| PER(倍) | 理論株価(円) | 評価レンジ(参考) |
|---|---|---|
| 8倍 | 204円 | 公開価格付近(割安) |
| 10倍 | 255円 | 下値目処・保守的水準 |
| 12倍 | 306円 | 妥当ライン(地合い中立) |
| 14倍 | 357円 | 初値近辺(標準的評価) |
| 16倍 | 408円 | 同業平均(コクヨ等) |
| 18倍 | 459円 | 軽い上方評価(期待先行) |
| 20倍 | 510円 | 強気レンジ(再評価ゾーン) |
| 22倍 | 561円 | バリュエーション拡張域 |
| 24倍 | 612円 | 過熱・材料頼み領域 |
分析コメント
- 公開価格(213円) → PER約8.3倍と明確な割安スタート。
- 初値(374円) → PER約14.7倍、市場の中立評価ライン。
- 上値余地:営業利益率の改善や配当政策次第でPER16〜20倍帯(株価400〜500円)まで再評価余地。
- 下値リスク:業績モメンタムが鈍化すればPER10〜12倍(株価250〜310円)が防衛ライン。
まとめ
ライオン事務器は業績安定型で、上昇余地よりも割安修正の再評価を狙うタイプ。地合いや小型IPOの循環資金が続けば、PER16倍=400円台前半までは十分に視野に入ります。
引き続き、出来高推移と直近の信用残動向に注目しつつ、押し目を拾う戦略が有効と見られます。
※本記事は投資助言を目的としたものではなく、個人のトレード分析例です。投資判断は自己責任で行ってください。

